ジョディさんと海に入っているとこんな会話がしょっちゅうある。
「ケイちゃん、15秒に大きいの入ってくるよ」
最初はちゃんと聞いていなかった。
「何言ってるんだろう」くらいで流していた。
しかし、そんなことが何度か続くと「おや?」と気がついてしまった。
ジョディさんが「〜秒後に波が」というとほぼ確実に波が入ってくるのだ。
今ではジョディさんが指定する秒数をきっちり数えるようになっている。
だいたい言う通りの時間にピッタリ波がブレイクする。
「ケイちゃん、7秒後に中くらいの波がくるよ」
「1、2、3・・・ やっぱ本当だ!」
とにかくよく当たる。
いや、『当たる』というか、きっと彼は『知っている』のだろう。
何を感じているのか、どこを見ているのかはまだボクにはわからない。
しかし、ジョディさんが波を感じるときはほぼ確実に波がやってくるのだ。
きっとボクなんかでは到底想像もつかないレベルで深く海とつながっているのだろう。
20年以上サーフィンをしているボクは、なんだか海のことはよ〜く知っている気になってしまったりする。
しかし、ジョディさんやその他のバリのロコサーファーたちと接してみて、ボクがいかにヒヨッコであるということを思い知らされているのであった。
(有本圭)