SWP | 365日、海! サーフィンと海遊びのブログマガジン

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有本圭自伝『少年おじさん』  第2話 人生が動きだした電話

思い返してみると、まったくひょんなことから人生というのは大きく動いていく。
僕は21歳になっていた。
特になんの目標も、夢もなく、ただ、親のスネをかじりながら日々『楽しいこと』を探しまわるという自堕落な生活を送っていた。

そんなある日曜日のできごとである。
朝陽というにはちょっと遅すぎる時間だったが、初冬のまだ暖かさを残している日差しが我が家のリビングに降り注いでいた。
日曜日にだけ休みを取る父親も、パジャマ姿のままソファでのんびりと朝日新聞を眺めていた。
僕は寝ぼけ眼のままテーブルの上に置いてあった日刊スポーツに手を伸ばした。

例のごとく僕の嫌いな巨人の選手が一面を飾っていた。
今年もどうやら巨人が強いようだ。
僕の応援している広島カープは1991年の優勝を最後に低迷していた。
貧乏球団というハンデを抱えながら、必死に戦っている姿に惹かれ、4歳の時からの熱狂的なカープファンなったのだ。

少年時代からきっちりカープファンの有本圭

少年時代からきっちりカープファンの有本圭

そんなカープに引き替え、金の力にものを言わせ、一流選手を買いあさっている巨人には激しい対抗心を燃やしていたのだ。
当然、今朝の新聞でも巨人が大きく取り上げられている一面、二面はパスし、三面の片隅に申し訳程度に載っているカープの試合結果を入念にチェックしていた。
試合に負けていても、誰が何打数何安打だったか、など細かくチェックするのが習慣になっていた。
そんな風に、いつもの平和な休日の朝を過ごしていた。そんな静かな朝を切り裂くように家の電話が鳴り響いた。
母が、イチオクターブ高いよそ行きの声で「はい、アリモトです」と受話器を上げた。
ちょっとの沈黙の後、普段の声に戻って「はい、はい、ちょっと待ってね」と言いい、保留ボタンを押した。
面倒くさそうに「けい、電話」と言いながら僕に子機を投げるように手渡した。
「誰?」
「小川くんっていったかな」
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