SWP | 365日、海! サーフィンと海遊びのブログマガジン

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有本圭自伝『少年おじさん』 第4話 不純な旅が始まった

1994年6月9日。
その日は僕の人生にとって特別な日だ。
念願叶って、地球一周クルーズへの文字通り船出となった日なのだ。
出発地である竹芝桟橋の待合室から大きな荷物を2つ抱えて船のタラップを昇って行くときの光景は今でも昨日のことのように思い出される。
僕は完全に舞い上がっていた。(前回まではこちら

まんまと船に乗り込んだ有本圭

まんまと船に乗り込んだ有本圭

タラップを上がるとその船のキャプテンやクルーたちが笑顔で僕のことを迎えてくれた。
まるでセレブになったような気分だった。
昨日まで、昼間は地べたを這いつくばりながらピースボートのボランティアスタッフ(以下ボラスタ)としてこの地球一周クルーズのビラ配りやポスター貼りをし、夜は新宿歌舞伎町のバーで雑用の一切をしていた僕が、いきなり豪華客船の乗客になった瞬間だった。
人生の深い深いボトムターンから一気に駆け上がったような錯覚に陥った。
客船の名前は『ゴールデンオデッセイ号』。
名前からしても豪華なのだ。
「俺もヤンエグの仲間入りか」などとつぶやきつつ胸を張った。
因みに『ヤンエグ』とは『ヤング・エグゼクティブ』の略で、今風に言うと『ヤングなセレブ』みたいなものだ。

僕はキャビンアテンダントに案内されて、今日から生活する僕の部屋に向かった。
船内に入ると、僕が想像していた以上にゴージャスで、シャンデリアみたいなキラキラとした照明や赤い絨毯が敷き詰められていた。
とにかく荷物を置いたらすぐに船内探検に出よう、とワクワクを抑えきれなかった。
船内の中央に位置する階段を下りると広い踊り場に出る。
そこからエレベーターで下へ降りた。
一番下まで降りた。
こんなに下があるのかと思うくらい下まで降りきった。

「have a good trip!」
そのキャビンアテンダントは僕の部屋を指しながら言った。
僕が申し込んだ部屋は『地球一周クルーズ126万~』の126万の部屋。
つまりは最下層の部屋なのだ。
部屋に入ってみると、ジメッと湿気っぽいのに加え、朝だというのに薄暗かった。
ほんの申し訳程度の小さな窓が2つついており、顔を近づけて覗き込むように外を見てみた。
目の前に広がっている景色が、一瞬どういうアングルからの景色なのか分からなかった。
海面がすぐそこにある、というより海面すれすれ。
かなりのローアングル。
船が動き出したら水しぶきで恐らく窓からは何も見えないだろうことが容易に想像できた。
しかもその部屋は相部屋で、僕のように一人で参加している人がその部屋に割り当てられることになっていた。
どうやら人生のボトムターンは続いているようだった。

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