SWP | 365日、海! サーフィンと海遊びのブログマガジン

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有本圭自伝『少年おじさん』 第7話 銀河鉄道999かっ!?

ベトナムの地は甘くなかった。
ふにゃふにゃの日本社会で育った僕らが通用するような甘い場所ではなかった。
と、まあそんな風に書くと少々大げさなのだが、ベトナムで同行した植木屋コマッキーの運がなかっただけなのかもしれない。
昼めしを食っている隙にコマッキーのバイクがパンクさせられ、修理代をふんだくられ、そのうえ再びコマッキーが帰り道に人をはねてしまい、そこでも『お詫び賃』をもぎ取られ、まさしく『ケツの毛まで抜かれた』という状態になってしまったのだ。(前回はこちら

そんな事情で僕らは植木屋コマッキーの金欠状態に付き合う形でベトナムの夜は船に戻り、いつもの船室のベットにもぐり込むというなんとも味気なくも情けない夜を過ごすことになってしまったのだ。

「あ~あ、本当だったら今ごろフエに行ってるはずだったのにな~」

と嘆きつつ、停泊している船で翌朝を迎えた。
当然、船にはほとんど人影がない。
せっかく停泊しているのに船で泊るようなモノ好きはそうそういないのだ。

ダナンは人のエネルギーが溢れていた

ダナンは人のエネルギーが溢れていた

僕は植木屋コマッキーを見捨てるわけにもいかず、心優しいカトキチと3人で港町ダナンを探検することにした。
もちろん食事中も目の届く場所にバイクをとめ、運転は人をひいたりしないように、僕らは慎重に行動を重ねていった。

いろいろな事があったが、僕のベトナムに対する印象は決して悪いものではなかった。
ベトナムの人たちは人なつっこく、親切な人が多かった。
もちろん日本に比べると治安が悪い部分もあるが、それは世界のどの国に行っても同じことなのだ。

僕らは遅めのランチを取った後、所持金が日本円で1万円を切ってしまった植木屋コマッキーの望みを叶えることにした。
シティバンク(世界各国にある銀行)の口座に軍資金を送ってもらうために日本へ電話をかけたいとの望みだった。
現在のベトナムならどこからでも簡単に、それこそ携帯電話で日本に電話ができてしまうのだが、時は1994年。
これはベトナムがまだまだ発展する前の話なのだ。

目星をつけていたそこそこ大きめのホテルに行ってみたが、
「ノー、ノー」
と軽く断られてしまった。

そこで僕らはダナンでもっとも高級なホテルに行ってみることにした。
さすがは高級ホテル。
難なく国際電話をかけることができた。

コマッキーは彼の親に「絶対返すからっ」を連呼しつつなんとか振込みの約束を取り付けた。
一同「ほっ」とし、「よかったねー、あぶなかったねー」などと口々に言い、最後は笑顔でベトナムの旅は終わったのでした、とはいかなかったのです。

コマッキーは「じゃあついでに彼女に電話するわ」と言い、タバコをくわえながら再び受話器を握ったのだ。
僕とカトキチは、「んじゃ外で待ってるよ」と、ホテルの外に出て、行き交うベトナムの人々の様子を眺めていた。

出港予定時間が17時。
主催者側からは1時間半前には戻るように、と念を押されていたのだ。
どんなに遅くても1時間前の16時には船に戻っていないといけない。
そのホテルから港までバイクで約30分。
バイクを返したり、そこからタクシーを捕まえたりで、まあ45分もあれば戻れるという計算をしていた。

僕とカトキチはコマッキーを待ちながらふと時計を見ると15時20分をまわろうとしているのに気付いた。
「おお、けっこうヤバイじゃん。コマッキー呼んでこよう」
とやや焦りつつホテルに入り、さきほど電話をかけていた場所に行ってみた。
するとコマッキーの姿がない・・・
「え?」
と一瞬カトキチとその場で凍りついてしまった。

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